人柱の巡礼母娘をまつる川坂神社
どんな伝承か
加須市外野の川坂神社には、旧大越村を水害から救ったという巡礼の母と娘がまつられている。ある年、雨が降り続いて利根川があふれ、濁流が堤を越えて村に迫った。そのころ減水を待って村に泊まっていた奥州へ向かう母娘の巡礼が堤を見に出て、竜神の祟りだから生娘を供えるほかないと叫んだ。誰の娘を出すかで村人の話はまとまらず、ついに巡礼の娘を濁流に投げ込み、母もそのあとを追って沈んだ。雨はやみ堤の修理も成ったが、数年後に疫病や稲の枯死が続き、訪れた旅僧が母娘の魂がさまよっているためだと告げたので、村人が社を建ててまつったのがこの神社だという。
原典より
いとしいわが子のこの姿をみた刹那、母巡礼もその後を追って水底の人となった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。