大入道に化けて腕を斬られた不動
どんな伝承か
岩槻の渋江町にある竜門寺の境内の不動堂には、高さ二尺五寸ほどの木像の不動尊が祀られている。この不動はいたずら好きで、毎晩大入道に化けては御成街道を行く人を脅かして喜んでいたので、夕方になると女や子どもは外へ出るのを怖がった。話を聞いた豪胆な武士が退治に向かうと、はたして大入道が立ちはだかった。斬りつけると異様な音とともに大入道は崩れ、黒雲が辺りを覆ったが、やがて晴れた。翌朝、寺の僧が茶を供えに行くと、不動の片腕が落ちていたという。それから腕はかすがいで留められたといわれるが、今の像にかすがいは無く、左手に継いだような跡が見えるだけだという。
原典より
翌朝、竜門寺の寺僧が仏前に茶を供えにいくと、不動の片腕がおちていたという。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。