童子が運んだ櫃と上尾宿の鍬神社
どんな伝承か
上尾市上尾宿の鎮守である鍬神社の御神体は、二挺の小さな鍬である。寛永八年(『新編武蔵風土記稿』は万治の頃とする)の大晦日、十一、二歳ほどの童子が三人、櫃を載せた車を引いてやって来た。土地の子どもも加わって歌い踊りながら車を引いたが、上尾宿から次の宿へ送ろうとすると、車は少しも動かない。人々が不思議に思い、ここに祀ろうと話がまとまると、車は軽々と動き出した。櫃には小鍬二挺と十数本の稲穂、黄金の幣が納められていたという。
原典より
上尾宿の鎮守鍬神社の神体は小鍬二挺である。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。