池に浸すと雨を呼んだ船形の石
どんな伝承か
小川町飯田の石船権現は、もとは長さ一尺五寸ほどの船形の石を御神体としていた。社前の御手洗の池にこの石を浸して雨を願うと、必ず験があったという。しかしいつの頃からか石は姿を消し、御幣だけが残るようになった。明治以降も飯田では日照りが続くと村を挙げて雨乞いを行い、各部落の人々が竹ボラやホラ貝を鳴らして山頂へ登り、御神体を槻川の川原に下ろして、裸の氏子たちが「雨降れ」と唱えつつ神官に川水を浴びせた。大正時代の大旱魃では、それまで雲ひとつなかった空に急に雨雲が湧き、大雨になったという。
原典より
社の前にある御手洗の池に、この石をひたして雨を祈れば、かならず効験があった。—— 埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
埼玉県伝説集成——分類と解説 中(韮塚一三郎・埼玉県伝説集成)
『埼玉県伝説集成——分類と解説 中』は、韮塚一三郎が編んだ埼玉県の伝説集の中巻で、上中下三巻のうち歴史伝説を収める。地名・屋敷・家系・聖地・城や堤や橋・神仏・神体と宝物・偉業・事件と紛争の九章に分け、県内各地の伝説を『新篇武蔵風土記稿』などの文献と土地の人からの聞き取りによって集めている。一話ごとに所在地と出典または資料提供者を記し、同じ類型の話をまとめた後に柳田国男らの説を引く〈解説〉を置く。