竜神の翁の面で雨を乞う高砂山
どんな伝承か
常滑市の旧小鈴谷村にも雨乞いの面の話がある。大谷の集落の東北にある高砂山という丘で、昔は翁の面をかぶって雨乞いをした。この面はもと伊勢の海の竜神のものだった。ある春の日、竜神は海から上がって高砂山に登り、面を松の枝にかけて景色に見とれるうちに、通りかかった村人に面を持ち去られた。以来、日照りにこの面を出して神事を行うと、竜神が面を取り戻そうとして大雨を降らせるのだという。神事では神主が氏神の前で鈴を持って舞い、数十隻の船に守られて海へ出て、面をかぶって海中をのぞく。するとたちまち雨が降り出したと伝わる。旧八名郡石巻村の日吉神社でも、雨乞いをすると二日三夜でたいてい雨になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。