吉谷神社に伝わる正月の弥勒踊
どんな伝承か
鹿島踊は関東から伊豆・安房にかけて広く分布し、いずれも年に一度の大祭の日に、住民が総出で臨む晴れの行事となっていた。伊豆大島の元村では、吉谷神社の正月十六日の踊歌がそれにあたる。ただしこの島の歌は、今に伝わる新しい事触れの言葉に近く、遊戯めいた色合いが濃い。島に事触れが渡ったとは考えにくいので、海上に別の伝わり方があったのか、あるいはこれを受け入れる信仰の素地があったのかと著者は問う。対岸の伊豆東海岸から相模足柄下郡の浦々では、大島のものより古風な弥勒歌を祭に踊る例が多いという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。