小島の御薬金次郎一件
どんな伝承か
島替えになった流人が、移された先で暴れた例もある。八丈小島では天保五年の御薬金次郎一件というのが八丈島仙郷志に載っている。この男もはじめから島を脱ける謀はなく、捕手が押し寄せると早々に首をくくって死んでしまった。島の自然は悪人を長く生かしておかなかったように思われる、と柳田は書く。生き残っている者は、少なくとも無害になっていたのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。