囲炉裏端で昔語りをする盲法師
どんな伝承か
胆沢郡六日入の鈴木家の囲炉裏のそばに、二人の盲法師が一夜の宿を与えられて座っていた。三味線を取り出して弾こうとすると、童児が口を出して、浄瑠璃はどうでもよいからそれを止めて昔話を語れという。何の昔がよかろうかと問うと、炉の向こうにいた家刀自が、琵琶にスルスでも語らないかと言った。そこで法師は、昔々どっと昔の大昔、ある家に美しい娘が一人あったと語り始めた。夜通し琵琶を弾けば娘をやると約束したために、夜が明けると娘を連れて行こうとし、臼を薦に包んで米俵だと言って負わせて出た座頭が、路傍で休んで身の上を嘆いたという筋であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。