使われぬまま残された精巧な樺皮
どんな伝承か
関谷の武藤氏の家には近ごろまで、この樺皮のまだ何にも使用せぬものが何枚か残っていた。それは頗る精巧なものであったそうである。しかも地方によっては、既にこのような樹皮を利用したことさえ忘れてしまっている。単に南無阿弥陀仏の掛軸が古くなり、何遍となく無細工に修理されて、まるで白樺の皮のようになっているから、それでカバカハというのだと考えていた人もあった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。