常冠りと呼ばれた頭巾の主
どんな伝承か
真澄には一二の逸話が伝わっている。先生は始終頭巾を被り通しで、常冠りという綽名さえあった。秋田の前侯が謁を賜わろうとした際にも、頭巾のままでよければ参上すると言ったという話もある。それを何とかして脱がせてみようとした者があって、あるとき強いて迫ったところ、温厚な真澄翁もその時ばかりは腹を立て、短刀を取って捻くりまわしたということである。先生が角館で病没した際にも、若い人々は好奇心のあまりその頭巾を取ってみようと言ったが、老人たちが承知せず、あれほど人に隠していたものを今更あばくのは人情でないと言って、そのまま葬ってしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第3巻』を全158話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。