南北に共通する新春の四習俗
どんな伝承か
菅江真澄の「奥の手振」が世に公けにされることによって、二つの新たな興味が芽を出すと柳田国男は説く。一つは、今から百三十七年前の下北半島の習俗と、現在の田名部・大畑・大湊の正月生活とで、何が変遷し何が依然として一致しているのかという問いである。もう一つは、九州四国の山村や岬の部落で我が土地だけの奇習と思われていたものが、この書によって偶合を発見することである。除夜の幸取樺、小正月のやら臭、かせぎどり、春田打ちの四つが挿画に残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第3巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第3巻』は、柳田国男の紀行・日記・随筆を集めた著作集の一巻である。相模・武蔵の村々を歩いた「水曜手帖」、昭和二十三年八月の自序を持つ「北国紀行」、明治四十三年の「五十年前の伊豆日記」、国際聯盟の委任統治委員会に勤めた大正十一年の「瑞西日記」と「ジュネーブの思ひ出 その他」を収める。後半の「菅江真澄」は昭和十七年二月の序を付け、真澄の著述と旅の跡を年を追ってたどり、写真解説を添える。