碓氷峠熊野権現の杓子町
どんな伝承か
中山道の碓氷峠にある熊野権現は、上野と信濃のちょうど国境に建ち、今も一つの社でありながら両県の県社になっている。祭礼は十月で、南北朝より前から地方の崇敬を集めていた証拠があるという。往還の両側には社家の家並みが続き、そこで大小の杓子を売っていたため杓子町とも呼ばれたと上野志に見える。柳田は、この杓子もおそらく箱根と同じように社家の手で檀家へ配られていたのだろうと考え、単なる歳暮や年玉であったのかどうかは、戸隠の杓子配りの例と照らせば容易に決められる問題だと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。