遠州細尾の人食い山鼬
どんな伝承か
大井の谷の西岸、遠州上川根村千頭のうち、寸股川の上流には細尾という僅か二戸の里があった。遠江風土記伝巻十三に「深山昼暗く人を食う獣ありて住めり。俗にこれを山鼬という。細尾の住民この獣のために食い尽くされて今は人家無し」とある。柳田国男は、これは食われる所を見たような記事であるが、恐らくは井川村の山神の犬と同じものに負わせた冤罪であろうと述べている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第4巻』は、柳田国男の著作を集めた定本の一巻である。岩手県遠野の伝承を佐々木鏡石から聞いて書いた「遠野物語」、山に入った人や神隠しを論じた「山の人生」、河童・ひだる神・一つ目小僧・天狗などを扱い妖怪名彙を付す「妖怪談義」を収める。ほかに「山人考」「史料としての傳説」「比丘尼石の話」「山人外傳資料」「『イタカ』及び『サンカ』」「山民の生活」など、山人・漂泊民・妖怪をめぐる論考を併せる。