餅と酒をせがみに来た山男たち
どんな伝承か
津軽の山人は相撲を取ったというだけで餅の話は残っていないが、秋田へ越えて見ると、この二つの事件が結び付いている。五城目近在の木樵で、かねて田舎相撲の心得のある者が、ある日山で働いて木を負って立とうとすると、不意に山男が出て来て相撲を取ろうと言って留めた。荷を下ろして力を競い、一番はまず投げると強いと褒めてくれた。二番目はわざと勝ちを譲り、山男は仲間を二、三人連れて来て取らせた。それが縁で折々出会ううち、ある日、家へ遊びに行くから家の者を外へ遣り餅を搗いて待てと言われ、一斗ほどの餅を振る舞うと数人の山男が喜んで終日遊んで帰った。以後も酒をせがみに来るので、木樵は煩わしさに堪えず病みついた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。