花笠を奪い合う王子の喧嘩祭
どんな伝承か
王子神社には、三月十日の花鎮祭と七月十三日の田楽祭があったが、花鎮祭は天保の頃に廃れ、田楽祭だけが年中行事の大祭として残った。いまは八月十三日に行われる。氏子が色を付けた竹を持って拝殿の前へ出て、南北に分かれて挑み合うのを序曲に、編木という楽器を鳴らしながら田植えの所作に似た素朴な踊りを舞う。持ち帰れば火難盗難を免れるという竹の槍を見物人が奪い合ったので槍祭とも呼ばれた。明治以降は槍の取り替えが廃れて花笠の奪い合いとなり、流血の騒ぎからついに喧嘩祭の異名まで生まれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年))
『行楽と史蹟の武蔵野』は、寺島裕が昭和十二年に著し、新生堂から発行した武蔵野の史跡探訪記である。狭山丘や山口貯水池の周辺から、行田・粕壁・生田・淀橋・中野・柴又・多摩御陵などの社寺、城址、古戦場、塚を歩いて訪ね、交通の便とともに由緒や伝説を記す。小橋一太と新井堯爾の序文、著者の自序を巻頭に置き、前著「史蹟の武蔵野を探ねて」に続く行楽案内として土地ごとの短い節を連ねる。