槍に貫かれてなお迫った金子家重
どんな伝承か
天正十八年六月二十二日の夜、豊臣方の軍は横山口へ押し寄せ、翌二十三日の払暁から総攻撃に移った。上杉軍は東の追手口、前田軍は北の搦手口へ回り、河越の降将大導寺景政は山下曲輪を襲う。城方はひどい霧のために大軍の接近に気づかず、突然の銃撃で初めてそれと知る有様だった。山下曲輪では近藤助実が陣頭に立って防いだが討たれ、金子丸を守る金子家重は寄手の闘士を投げ飛ばして荒れ狂った。しかし堀角左衛門の大身の槍に胴を貫かれ、なお槍の柄を手繰って敵に迫ったため、驚いた角左衛門に真向から斬り下ろされて倒れた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
行楽と史蹟の武蔵野(寺島裕・1937年(昭和12年))
『行楽と史蹟の武蔵野』は、寺島裕が昭和十二年に著し、新生堂から発行した武蔵野の史跡探訪記である。狭山丘や山口貯水池の周辺から、行田・粕壁・生田・淀橋・中野・柴又・多摩御陵などの社寺、城址、古戦場、塚を歩いて訪ね、交通の便とともに由緒や伝説を記す。小橋一太と新井堯爾の序文、著者の自序を巻頭に置き、前著「史蹟の武蔵野を探ねて」に続く行楽案内として土地ごとの短い節を連ねる。