膝丸に斬られ北野の塚に逃げた土蜘蛛
どんな伝承か
『屋代本平家物語』剣の巻が伝える源頼光の土蜘蛛退治。頼光はある年の夏、原因不明の病に伏し、医師の手当も加持祈禱も効かなかった。ある日の宵、まどろんでいると、かすかな明かりの陰から高さ七尺ばかりの怪しげな法師が現れ、手にした縄で頼光を縛りつけようとした。驚いた頼光が枕元の源氏の宝刀膝丸で斬りつけると法師の姿は消え失せた。駆けつけた四天王があたりを調べると血痕が残っており、たどっていくと北野のうしろの大きな塚に着いた。掘り崩すと四尺ほどの蜘蛛が出てきたので、捕らえて串刺しにし鴨川の河原にさらした。以来、膝丸は蜘蛛切りと呼ばれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
異界巡礼(小松和彦)
『異界巡礼』は、小松和彦が著した民俗学の論集である。狐が人に化ける方法と如意宝珠、蓮如絵伝の異人、鬼退治譚と怨霊、家の盛衰をめぐる民話、夢信仰、巫女と陰陽道、洞窟や龍宮の他界観、人を神に祀る信仰、神隠しなどを、昔話・説話・絵巻・お伽草子と高知県物部村などでの調査をもとに論じる。論考と随想を部に分けて並べ、「民俗のランドスケープ」の部には妖怪、凧上げ、祓い、霜月祭り、呪い人形をめぐる小文を収める。