婆さんが抱えていた十二の犬神
どんな伝承か
小松島市で聞いた話では、近所に住む犬神持の婆さんにたびたび取り憑かれた人が祈祷を受けたところ、その婆さんは十二もの犬神を抱えていたという。犬神筋の女が持つ犬神の数は人によって違うとされる。人には木火土金水の五つの性があり、木性は九つ、火性は三つ、土性は一つ、金性は七つ、水性は五つの魂を持つが、犬神持は自分の魂と同じ数の犬神を持つのだと言い伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)(徳島の研究)
『徳島の研究 第6巻 (方言・民俗篇)』は、徳島をめぐる研究叢書『徳島の研究』の方言・民俗篇の巻で、阿波の犬神を論じた一篇を収める。狸やトウビョウと並ぶ阿波の憑きものとしての犬神について、起源の伝説、正体とされる小犬や鼠、犬神筋の分布と女系の継承、憑依の動機と症状、祈祷による犬神落しを、筆者の聞き書きと室町期の下知状、郡誌や『阿波民俗』などから述べる。七節に分け、昭和期の犬神をめぐる事件と迷信打破の道で結び、末尾に参考文献の註を掲げる。