鶴が落とした道運寺の大粒の米
どんな伝承か
市原郡平三村米原に粳米山道運寺という寺がある。庫裏の下に一畝ばかりの田があり、そこに植える米は粒が非常に大きく甚だ長い。百年ほど前には籾の一粒が柿の種ほどもあったので、一粒ずつ炊いて仏に供えていた。今はようやく小さくなったが、それでも常の米の数倍あるという。里人は、昔、鶴が籾を銜えてこの地へ落として行ったものだといい、これを鶴おとしと称している。寺僧によれば、この米は開山仏鏡禅師の齎したもので、禅師は永仁二年二月二十四日に示寂したため、毎年その日の供物に供えるという。
原典より
平三村米原区に、粳米山道運寺と云ふ寺がある(「上総志」等)。—— 日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 上総の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1917年(大正6年))
『日本伝説叢書 上総の巻』は、藤沢衛彦が大正六年に編んだ上総国の伝説集である。夷隅・長生・山武・市原・君津の五郡にわたり、地名の由来、社寺の縁起、城と武将の事跡、大蛇や狐つきの怪異、俚謡や民間の風俗を、口碑や『総国誌』などの地誌から集める。巻頭に著者の序と緒言を置き、上総国と郡の名義を説いたのち、郡ごとに町村の所在を添えた見出しで一話ずつ並べる。