延命寺に並ぶ里見氏歴代の墓
どんな伝承か
安房郡國府村大字本織稲荷森にある長谷山延命寺は、里見氏の菩提寺で、田園を付して菩提寺としたといい、旧幕府からも高二百七十石の朱印地を与えられた。曹洞宗で本尊は正観世音菩薩、実堯以来九世の位牌影像や古文書を伝えるという。山門に草書で長谷山と書いた額があるが、これは室町時代の書であるという。この寺に里見氏四世義堯以下代々の墓が残っている。高さ三尺ばかりの五輪塔ばかりであるが、年代を経て剥落し、まったく判読できなくなっていると「安房志」は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。