工匠の祖神を祀る莫越山神社
どんな伝承か
豊田村沓見の宮脇の山上に祀られる莫越山神社は、延喜式に載る名社と伝えられ、孝徳天皇の大化元年に手置帆負命と天彦狭知命を祀ったという。二神は工匠の祖とされ、古来、工匠の術を伝授する者たちが崇敬してきた。かつては里見氏の祈願所で社領も有し、天正年中に里見義頼が三十余歩の社地を寄附したが、徳川の代の寛永十年に検地で没収され、わずか三石を領するのみとなった。明治六年八月に郷社と定められたと社伝は記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説叢書 安房の巻(藤沢衛彦・日本伝説叢書・1919年(大正8年))
『日本伝説叢書 安房の巻』は、藤沢衛彦が大正八年に編んだ安房国(千葉県)の伝説集である。天富命の渡来や源頼朝・里見氏・日蓮にまつわる英雄伝説を中心に、社寺の縁起、風俗・信仰、船幽霊や一本足の蛸などの特異な伝承を、『安房志』『房総志料』などの地誌や寺伝・口碑から引いて収める。緒言と「安房国と牛」と題する序を巻頭に置き、鋸山から小湊まで各話に所在の郡村大字を添えて土地ごとに並べ、緒言では百八十六種を蒐集したと記す。