大師の祈りで一夜に芽吹いた柿
どんな伝承か
弘仁六年三月、弘法大師が夕方この地を通りかかると、傍らの茶園にしきりに霜が降りていた。不思議に思った大師は、その茶園でこの土地が仏縁の深い所だと知り、それならば自分の挿す柿の枝に一夜で芽を出させたまえと祈った。すると翌朝、枝から本当に芽が吹いたという。大師は傍らに草庵を結んで七日ほど滞在し、この庵を夕部柿山御影寺と呼ぶようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男(指導)・日本放送協会(編)/関敬吾・石原美子(編纂)・1949年(昭和24年))
『日本伝説名彙』は、柳田國男の指導のもとに日本放送協会が昭和二十四年に編んだ伝説の名彙である。全国の伝説を、その拠り所となる木・石・岩・橋・清水・淵・塚・坂・屋敷・地蔵などの地物の名ごとに集め、伝わる県郡村名を付して、郡誌・市町村誌や伝説集、民間伝承誌などの出典を括弧で示す。冒頭に柳田の「傳説のこと」を置き、木・石岩・水・塚・坂峠・祠堂の部に分けて、巻末に資料の解説と種類別索引を付す。