松坂の村のイガワにいた背を干すガッパ
どんな伝承か
この地方でイガワと呼ぶ井戸は、湧き水を石で囲って深く水をためた平井で、イガワにガッパがいたという話は珍しくない。大字関町字田坊の小名松坂にあり、以前は村じゅうが水を汲んでいた村のイガワは底が深かった。三十年ほど前まではここにもガッパがいて、人けのない時刻によく背中を干しており、行き合わせるといきなり水に飛び込んで人を驚かせたという。見たという人は今も少なくない。夕方になると、女や子どもは怖がって水汲みに行かなかったそうである。
原典より
わしはこの目で何べんも見たんじゃ。—— 現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。