スイカ畑に現れた目も口もないずんべら棒
どんな伝承か
書き手が二十歳ごろの若いころの体験。場所は石立のほうで、夜九時過ぎだった。当時そこにはスイカ畑があり、友だちと背中合わせに小便をしていると、下のほうで何かが動いた。見るとスイカのような、目も口もないのっぺらぼうが、こちらをじっと見ているような気がした。二人はどちらからともなく西へ駆け出し、能茶山の入り口まで来て、お前も見たかと言い合うと、二人とも同じものを見ていた。あそこには沼があってえんこうがいると聞いていたという。後で懐中電灯を提げた男と引き返してみたが、もう何もいなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』は、松谷みよ子が編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞書で全国から寄せられた話と、郷土誌や雑誌『旅と伝説』などからの引用を、県別に話者・回答者・出典を添えて並べ、奄美・沖縄のケンムンやブナガヤにも及ぶ。目次では河童・天狗・神かくしの三章の頭にそれぞれ「考」を置き、巻末に河童の名称、天狗・神かくし年表、あとがきを掲げる。