浜小屋の大鮪を狙った山猫
どんな伝承か
網地島の長渡の浜で饅頭屋を営む岩淵某が、若い頃に漁師をしていた時のこと。ある年の夏、大綱で鮪が大漁となり、二十貫ほどある大鮪四尾だけは送りかねて浜小屋に残しておいた。ところが夜中に一尾が消え、砂の上には大きな獣の足跡が残っていたので、山猫の仕業だということになった。翌夜、岩淵は屈強な者と二人で酒を飲んで小屋に待ち構えたが、うとうとして目を覚ますと、皿のような目を輝かせた大きな山猫が枕もとに座っていた。撃ちかかったが逃げられ、自分の獲物で左手の甲を傷つけたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。