浜辺に続く鉄瓶の蓋ほどの足跡
どんな伝承か
ある年の秋、網地島を大暴風雨が襲い、明くる日は一天拭ったように晴れた。日曜だったので島の小学校の子供たちは喜んで山へ遊びに出かけ、二人の女の子は連れ立って西海岸の長瀞へ通草を採りに行った。帰りに浜伝いを歩くと、砂の上に鉄瓶の蓋ほどもある正体の知れない足跡が一間おきに続き、あたりには鮪の頭や骨が食い散らされていた。二人は震えて家へ走り帰り、夕方に家人と村の若者たちが行って見ると子供の言う通りで、確かに山猫に違いないということであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。