猫に滝へ連れ込まれた娘と牛糞のぼたもち
どんな伝承か
隠岐の知夫里島の話。郡の集落の娘が、薄毛の祭りでごちそうをもらい、重箱を返しに行く途中で猫に化かされた。娘は多沢のとりごえの辺りから、山の裏手の大きな滝の中へ入り込んでしまった。一週間探しても見つからなかったが、海でサザエを取っていた者が崖の上に人影を見つけて知らせた。人々は体を綱でつないで滝まで下り、娘を捕まえて浜へ下ろし、船で薄毛へ連れ帰った。娘はぼたもちを食べ、毛布を着て、明るい灯の下にいたと語ったが、ぼたもちは牛の糞、灯は猫の目玉、毛布は猫が抱いて寝ていたのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。