分かれ道で友の声をまねて呼ぶ猫
どんな伝承か
隠岐の島後で話者が子どものころに体験した話。高等小学校は西郷にしかなく、そこへ通った帰り道、加茂と箕浦へ分かれる道の辺りで加茂の道を歩いていると、友だちの声で名を呼ばれた。どこを通っているのかと聞かれ、加茂道だと答えると、のろ道を通って帰るからこっちへ来いと誘う。遅くなるからと断っても、来い来いとしきりに呼ぶので行ってみると、誰もいない。いくら呼んでも返事がないので、あれは猫だったのだと言って引き返したという。当時は子どもがよく猫に化かされると言われていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。