玉若酢神社の祭りの帰りに消える道
どんな伝承か
隠岐の島後の話。下西の玉若酢神社では六月五日に祭典があり、馬を駆ける乗馬の式を見に多くの人が参詣した。平野屋のおじいさんがその帰り、日が暮れてから加茂と箕浦と西田の三つ叉になる峠を越え、箕浦へ下る途中で猫につけられた。下った先の田んぼの辺りで道が見る見る消え、細い道をたどると田の中へ入ってしまう。あぜを探って進んでもまた道がなくなり、振り返ると後ろには道が見えるので、戻っては進むことを繰り返すうちに夜が明け、猫は離れて逃げていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。