断魚滝の帰りに先を行く消える女
どんな伝承か
隠岐の島後で話者が体験した話。四人で抱えるほどの大杉を目当てに花を切りに山へ上がったが、道に迷ってもとの道へ出られなくなった。那久には断魚滝という名高い裏見の滝があり、高さ十八丈、滝壺はなく五十畳ほどの平らな岩がある。その滝まで下りてきたときにはすっかり遅くなり、那久の叔父の家へ向かうと、一丁半ほど先を手拭いをかぶった女が歩いていく。花を背負って追いつこうとしても距離が縮まらず、小野篁がいたというコウサン寺の手前で女は消えた。叔父は猫にだまされたのだから今夜は帰るなと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。