梅の木の下で大きくなる老人
どんな伝承か
語り手が母と親類のところへ行き、泊まれとずいぶんせめられたが、家に客もあるので帰ることにした。知々井の部落を出しなに、また猫がスッと横切った。そこへ郵便夫が来て、自分は毎晩ここを行き来しているから何ともない、あちらへ連れて行くと言い、ずっとついて来た。西の部落の上まで来ると、ここを下がればすぐヤシキという親類の家があると教えられたが、二人はとっとこと反対の方へ行ってしまった。戻ると大きな梅の木の下に、大きなおじいさんと小さなおばあさんがいて、行き先を尋ね合ううち、見上げるとおじいさんはいくらでも大きくなった。郵便夫の話と食い違うのに気づいて「ワァッ」と叫ぶと、あたりが明るくなり親類の家が見えた。夜中の一時頃だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。