山中で見つかった子とそばから逃げた猫
どんな伝承か
明治の頃の話である。七歳の男の子が、あかちゃんをおぶって、出しょ(山畑)へいもほりに出かける両親の後をついて行った。しばらく歩いた両親が後を振り返ってみると、子どもの姿はなかった。両親は夕方まで探したが見つからず、翌日、村中の人が鐘と太鼓で探し歩いたところ、子どもは山の中にじっと座っていて、そのそばから猫が逃げて行ったそうだ。八〇歳のおばあちゃんから聞いた話である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。