裏山の宴会へ誘われる老猫
どんな伝承か
明治時代の話である。祖父が子供の頃、近所に年老いた猫がいた。人間の齢にすると一〇〇歳以上になるという。ごろごろ昼寝ばかりしていて、時々起きてはいたずらをした。どこの家のどの場所に何があるかをとてもよく知っていて、まるで人間のようだったそうだ。村の人は年老いた猫は化けると言い、どんないたずらをしてもとがめなかった。ある晩、祖父が寝ていると雨戸ごしに話し声が聞こえ、裏山で宴会があるので一緒に行こうと誘っている。のぞいて見ると年老いた猫がいるだけで人の気配はない。ある日そっと後をつけると、猫が大勢集まって歌ったり踊ったり大酒盛りをしていた。身の毛もよだつ思いだったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。