山中で猫が踊る虎どん踊り
どんな伝承か
島根県周吉郡西郷町(現隠岐の島町)の話。明治三十年頃、旧七月十六日の盆の晩、中筋の有木という村で盆踊があり、隣村の東郷の若者五、六人が踊りに出かけた。夜更けに山道を戻り、有木と東郷の村境を過ぎた頃、向こうで盆踊の口説が聞こえた。近寄ると、盆の十六夜の月明かりの中、猫が五、六匹手拭で頬被りをして輪をつくり盆踊をしていた。若者は気味悪くなり杉の木に隠れて見ていた。やがて一匹が「虎どんまだか」と囃すと他の猫も囃した。虎は東郷の百姓屋の年経た飼猫だったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。