除草剤の空地を通って死んだ猫のヒロ
どんな伝承か
昭和五九年の話。我が家でヒロという猫を飼っていた。通りの向かいには三毛の可愛い娘猫が住んでいて、その間の空地にはエノコロ草がいっぱい生えていた。ミケちゃんのところへ遊びに行くにはその空地を通らないわけにはいかず、楽しいのでついつい道草をするのが常だった。ところがその空地がある日除草剤をまかれ、天国への道となってしまった。エノコロ草は枯れた。それでも何も知らないヒロは、ミケちゃんに逢うためにいつものコースを、手や足や体をきれいにしては通った。そうして薬物中毒となって死んでしまった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 10 狼・山犬、猫』は、松谷みよ子が日本民話の会の『民話の手帖』での呼びかけやアンケート、聞き書きで全国から集めた話を編んだ現代民話の資料集である。明治以降を目安に、狼への畏れと信仰、送り狼や千匹狼、化け猫や猫の踊り、戦中の猫の供出、水洗トイレを使う猫までを収める。序文と各章の前文に続いて「狼・山犬」「猫」の二章を主題別の節に分け、各話例の後に類話の採集地・話者・出典を「分布」として並べる。