専売局を煙に巻いた狸の神様青木藤太郎
どんな伝承か
徳島県の山城谷村に祀られた狸の神様、青木藤太郎大明神にまつわる話である。煙草専売法ができて間もない頃、池田の専売局の役人は密売の煙草を厳しく取り締まっていた。ある時、伊予川沿いの街道で、百姓風の男が手で刻んだ煙草を吸っているのを見とがめた。男は平謝りしたが許されず、住まいと名を問われて、相川の橋名に住む青木藤太郎だと答えた。役人は翌日出頭するよう命じたが男は来ず、はがきで呼び出しても現れない。人を出して調べると、そのあたりで青木藤太郎といえば狸の神様しかおらず、村じゅうを探してもその名の者は一人もいなかったので、専売局も手の打ちようがなかったという。
原典より
手平の短歌の先生とこへ行ったとき遅なってしもうてのう、先生に送ってもろうたんやが、あっこらさぶしいとこでのう、ドブのはたにお地蔵さんがあったんえ、そのお地蔵さんの一寸向うにうどんて書いた赤いちょうちんがつっちゃあって、そ…—— 現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。