赤崎林の手前で見た赤い灯
どんな伝承か
示現寺の先代の方丈が語った話である。所用で喜多方市に出た帰り、檀家から魚や肉など一人暮らしでは二、三週間は食べられるほどの布施を授かり、背負って赤崎林の手前まで来た。すると道の両側の林が真っ赤な灯が燃えたように明るくなり、思案するうちに元の暗闇に戻った。空を見上げると月の色が気味悪いほど赤い。しばらく歩くと今度は目の前五メートルほどの所が横一面に赤く燃えたように明るくなり、近づけば遠のいて、村に入るまで続いた。新仏の来訪は多く経験したが、あの赤い灯だけは何とも言いがたく、狐狸の化かしと考えるのが一番適切かと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。