白ムジナが見せた大男と女の幻
どんな伝承か
東京都西多摩郡(現・檜原村)の話。翁がまだ小学校五、六年の頃、七、八人の友だちと近くの山へ薪拾いに行った。夕暮れ近く、木を切る音がして振り向くと、薪を背負った見知らぬ大男が一心に斧を振るっていた。子供たちが大声で呼んでも答えず、足を早めて杉山のところでふっと姿を消した。同じ頃、学校の裏山の畑で見知らぬ女が肥桶を担いでいるのを見たが、これも桶ごとふっと消えてしまった。一月ほどして里の猟師が大きな白ムジナを撃ち、それ以来この幻は現れなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1995年(平成7年))
『現代民話考 11 狸・むじな』は、松谷みよ子が一九九五年(平成七年)に編んだ現代民話の資料集である。明治から現代までに各地で語られた狸・むじなの話を、聞き書き、読者の回答、郷土誌や民話集、新聞記事から集める。狸火、腹つづみ、音まね、いたずら、化かし、たたり、人助け、戦争にいった狸、今の暮しなど十二の部に分け、話例ごとに本文と類話の「分布」を添え、巻頭に序文と前文、巻末にあとがきを置く。