松山聯隊の集合写真に写る狸
どんな伝承か
三上千蔵という人が伊予を旅して聞いた話。松山城にあった松山聯隊の医務室に狸が出るという。日露戦争へ出征する前、第三中隊の全員が部屋を空にして外へ出、揃って写真を撮った。すると右側の開いた窓から、髪を長く垂らし、人間なら乳のあたりまで身を乗り出した、女とも見える者が写っていた。歯はまことに真っ白だったという。それは決して人間ではなく狸で、その中隊が写真を撮るときには必ず写っているのだと語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。