葉山御用邸の皇后の夢枕に立った坂本龍馬
どんな伝承か
昭憲皇太后が葉山の御用邸に滞在していたときの出来事として伝わる。日本海海戦の二、三日前とされる明治三十七年五月二十五日の夜、零時を過ぎても眠れずに床の上に座っていると、一間へだてた次の間に衣冠を正した武士が現れ、平伏して坂本龍馬と名乗った。龍馬は、露国との海戦では自分の霊力で皇軍を守り必ず勝たせるので安心してほしいと述べ、たちまち消えた。翌二十六日の夜も同じ夢が繰り返されたため、皇后が龍馬とは何者かと尋ねると、田中宮内大臣は、海援隊を組織して海軍の必要を説いた勤王の忠臣だと答え、居並ぶ者たちは大勝の兆しだと喜び合ったという。
原典より
「微臣は坂本龍馬と申す者に候、今回露西亞との海戰に際して、畏れ多くも陛下の御宸襟を御惱まし給ふこと、臣等の恐懼に絶えざることに候、…—— 心霊現象治病法(心霊学研究会・1940年(昭和15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊現象治病法(心霊学研究会・1940年(昭和15年))
『心霊現象治病法』は、心霊学研究会が昭和十五年に発行した心霊療法の手引書である。精神を心理学と唯識の八識説で説き分け、暗示と感応、睡眠と覚醒、肉体と精神の存滅を論じたうえで、薬に頼らず観念と精神統一で病を治すことを唱え、大正十一年の治療の例などを挙げる。第四編「疾病と心霊療法」の後に附録の第五編「実験」を置いて霊動術・金剛力・剣の刃渡り・熱湯熱火を防ぐ法・感応術の修め方を説き、「発心の一言を残して」で結ぶ。