校長だけが写らなかった卒業記念写真
どんな伝承か
和歌山県日高郡の中津芳太郎さん自身の体験で、昭和三十七、八年頃のこと。小学校で六年生の学年主任をしていた中津さんは、卒業が近い二月の末、校長を中心に座ってもらって卒業記念写真を撮った。数日後、町の写真店の主人が青ざめた顔で、もう一度撮らせてほしいと言ってきた。わけを尋ねると、校長先生が写っていないのだという。やむなく別の理由をつけて校長と児童に話し、撮り直した。その年の暮れにならないうちに、校長は大病で亡くなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。