檀家の死を夢で知る宝泉寺の和尚
どんな伝承か
昭和二十八年頃のこと。西津軽郡深浦町の宝泉寺の住職であった小野宏道は、町の小学校の教師も務めていた。和尚はよく夢で檀家の人の死を予知したという。夢はだいたい型が決まっていて、本堂で勤めをしていると誰かがそっと背後へ来てちょこんと座った気配がし、振り返ると誰もいないまま目が覚める。あるいは寺の門前を行ったり来たりする人がいて、境内から「どなたですか」と声をかけて門まで行くと誰もいない。そういう夢を見た翌朝は、たいてい檀家の人が亡くなったという知らせを受けた。とくに門前を行き来する夢のときは、重病の人、難病の人であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。