玄関に立って消えた山形の叔母
どんな伝承か
新宿区に住む二十二歳の勤め人が、四月に体験した話として伝えられている。山形で入院している叔母が突然訪ねてくる夢を見た。玄関のブザーが鳴り、出てみると何年ぶりかの叔母がぼんやりと立っている。中へ入ってと声をかけても入ろうとせず、早くと促した途端、すうっと消えてしまった。何か言いたげなのに声にならず、目には涙が光っていた。気になって連休に山形へ見舞うと、叔母はやつれてはいたが思いのほか元気で、早くいい婿を見つけなさいと励ましてくれた。ところが帰京して一週間後の夜、危篤の報せが入り、翌朝には亡くなったという知らせが届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。