逆夢と信じた祖母の死の知らせ
どんな伝承か
昭和五十四年三月に祖母が亡くなった。その少し前、語り手は祖母が息を引き取り、死に目に会えずに声をあげて泣くという夢を見ていた。父も同じ頃に祖母の死ぬ夢を見ており、二人は逆夢だろう、かえって長生きする知らせだと言って本気にしなかった。しかし三月二十五日の早朝、祖母は眠ったまま息を引き取っており、家族が気づいたときには体はすでに硬直していた。祖母の姉が亡くなる少し前にも、家の階段の上にその人が逆さまに立つ嫌な夢を見た。それからしばらく、階段を見るのが気味悪かったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。