死の間際の詩人と歩いた正夢
どんな伝承か
昭和五十五年五月二日の夜、語り手は夢を見た。詩人の佐藤十弥夫妻と佐藤三郎の三人に付き添い、夕日の赤く映える日和山公園から市立図書館、本間美術館へと歩いて回っている。夢のなかで十弥は、癌に冒されてあと何日生きられるか分からないので酒田を見ておきたいと言った。後で聞くと、十弥はまさにその日から容態が悪くなり、そのまま亡くなったという。正夢だったのだと思うと無念でならない、と語り手は書いている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。