訃報を先に告げた夢見の婆
どんな伝承か
昭和三十四年十二月の話。近所に盛岡婆さまと呼ばれる人がいた。若い頃に盛岡で芸者か酌婦をしていたことからその名で呼ばれ、この人の見る夢は外れないと評判だった。ある朝、婆さまが突然家に上がり込んできて、お母さんがお亡くなりになったそうでお悔やみを申し上げます、と挨拶した。病で床についていた母は苦笑し、まだ死ねずにいると答えた。婆さまは慌てふためいて帰っていったが、その二日後、母は心臓発作で世を去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。