亡夫が接ぎ木した柿を届けよとの夢
どんな伝承か
清水市西久保のSさん(七十二歳・女)が、往診を受けていた医師のもとへ柿を届けに来た。前夜、亡くなった夫が夢枕に立ち「先生のとこへ柿を持ってけよ」と言ったのだという。夫は脳血栓で長く療養し、狭心症の発作や肺炎を繰り返して、亡くなる一か月前からは毎日のように往診を受けていた。夫がまだ元気だった頃に接木した柿の木が、その年になって初めて実を結んだ。夫が世を去ってからちょうど六年が経っていた。Sさんはその柿を懐かしく手にし、医師にも分けてくれたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。