元の場所へ帰りたいと訴える庚申さま
どんな伝承か
下赤塚駅から赤塚中央通りに出た所に、洋品店のショーウインドー前に並んで庚申さまと梵字を彫った石碑が立っている。宝暦四年に中田七右エ門が建てたものだ。この場所はもと中田七三郎の屋敷で、板塀に沿って庚申さまがひっそり立っていた。舗装工事の邪魔になるので近くのお不動様の境内に移したところ、いくらもしないうちに子孫の七三郎の夢枕に庚申さまが現れ、「わたしを元の場所に戻してくれ」と繰り返し訴えた。幾晩も続いたので、元の場所に返したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。