山越えに飛んだ火の玉と校長の死
どんな伝承か
昭和三十年の八月、小学校長と保育園長を兼ねていた古屋が肝臓癌で名大病院に入り、危篤と伝えられた。父兄たちは産土神へ平癒を願おうと集会所に集まって相談していたが、遅れて来た叔母が青ざめ、胸を押さえながら、先生はもう助からないと言い出す。ここへ来る途中、大きな火の玉が山の向こうから先生の家の方角へ飛んで行くのを見たのだという。古屋の妻は肺結核で自宅療養中で、先生はそれを深く案じていたから、さぞ心残りだろうと一同は沈んだ。訃報は一日おいた八月十一日に届いた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂(松谷みよ子・現代民話考)
『現代民話考 4 夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂』は、松谷みよ子が編んだ「現代民話考」の一冊である。日本民話の会の雑誌『民話の手帖』のアンケートへの回答や聞き書き、新聞・雑誌の記事から集めた、予知夢や死の知らせの夢、死者や神仏の夢告げ、死の前後に出る火の玉、生きている人から抜け出す魂の話を各地から収める。三章それぞれの冒頭に編者の論考「考」を置き、項目ごとに代表的な語りと、県別に並べた短い報告を話者・回答者・出典を添えて載せる。