江古田で採れた天然氷と製氷会社
どんな伝承か
明治三十年ごろ、江古田の深野清三郎・深野亀太郎、原の堀野熊太郎、それに著者の父米太郎らが発起して豊多摩製氷会社を作った。片山北野神社の裏手、今の江古田公園にあたる一帯およそ千坪に採氷池を築き、天然氷を採って夏に東京市中へ売り出したのである。妙正寺川から田用水を引く柏堰の水を入れ、煉瓦で縁を作りコンクリートで底を固めた池を二十か所設けた。南側の山に孟宗竹を並べて日陰を作り、十二月から一月中旬にかけて氷を張らせ、五、六日で二寸ほどになった氷を鋸で二尺角に切り出し、神社の北側の倉庫に貯えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
城西風土記と昔語り(熊沢宗一・1959年(昭和34年))
『城西風土記と昔語り』は、東京中野の江古田に住んだ熊沢宗一が昭和三十四年に著し、自ら発行した郷土誌である。中野長者と淀橋の伝説、御犬小屋や桃園の旧跡、新井薬師、江古田の獅子舞、内藤新宿や高田馬場の昔語りなど、中野と近在の伝説・旧跡・寺社を、古文書や碑文、琵琶歌も交えて記す。全二十章の後半には著者の百姓時代や終戦直後の食糧事情、台風の被害、日露戦争の軍隊日誌を収め、巻末に著者略歴を付す。